東京都渋谷公園通りギャラリーは、このたび、パフォーマンス・シリーズ「RAW」のvol. 5として「RAW05 ケア×アート ボディーズ!!」を開催します。2021年にスタートした「RAW」は、音楽やダンス、演劇、対話など、アーティストや観客との関係の中で生まれる「生の表現」を、渋谷の街なかに位置するギャラリー空間を活かして展開するプログラムです。
このたびは、身体に生じる「コリ(凝り)」をその人固有の記録や生の痕跡と捉え、絵画や立体作品を制作する美術家・池上恵一による実践的なプログラムを展開します。
交流スペースでは、一人で気軽に参加できる「オルガニートで奏でる『からだ』の記憶」と「BODYPHONY」を体験できます。身体の「コリ」を記録したカードをオルガニートで奏でると、一人ひとりの身体の記憶が小さなメロディになります。
展示室1では、白いTシャツを身体に見立て、凝っている箇所に赤いシールを貼って、自分の身体の感覚や記憶を写し取る「コリを着てみる『からだ』の記憶をTシャツに」を体験できます。一人でも参加できますが、ペアでの体験がおすすめです。スタッフのお手伝いをご希望の方は、コミュニケーションシートにご記入ください。お気軽にどうぞ!
展示室2では、ぜひ壁に投影された映像と一緒に大きく深呼吸をして、自身の身体の内側と外側を感じてみてください。
最終日には、これまでのワークショップを通して集まった、たくさんの身体の記録を背景に、パフォーマンスを行います。その様子を映像作品として記録し、会期終了後に公開します。ぜひ、あわせてご覧ください。
私たちは、身体を通して世界と出会っています。たとえば、あなたの手で誰かの背中にそっと触れる時、その手は触れると同時に、背中の持ち主から触れられてもいます。触れる圧力が、触れられる圧力として返ってくることで、私たちは、「触れること」と「触れられること」の両方を感じているのです。また、衣服は隠すために着るものであり、見せるために着るものでもあります。このように、身体には、さまざまな両義性があります。 このたびのTシャツやオルガニートの音色は、見立ての行為を手掛かりとした、気づきの装置です。自分の身体に気づき、他者の身体に思いを巡らせ、また自分自身を見つめ直す。その気づきの往復を通して、私たちは、自分と他者との関係をも捉え直すことができるのではないでしょうか。
私たちは、それぞれ異なる身体を生きています。普段は意識することのない「身体」のあり方を見つめ直すことは、自分自身の感覚に気づくだけでなく、自分とは異なる身体や感覚をもつ他者との、違いや重なりに気づくことにもつながります。ここでの体験が、多様な人々が共に生きる社会について考えるきっかけとなれば幸いです。
ぜひ、ゆっくりと「コリを手がかりに、身体性(からだ)をひらく」ひと時をお過ごしください。
東京都渋谷公園通りギャラリー
ワークショップは、自由参加です。会場に並ぶオルガニートのカードやTシャツは、ここを訪れた誰かの身体の記憶です。どんな身体の記憶が残されているのか、たどってみるのもおすすめです。
オルガニートは、ハンドルを回すと音が鳴る小さな楽器です。穴をあけた紙を通すと、紙の穴に合わせて金属のツメが弾かれ、音が出ます。
カードを1枚とります。カードには、7つの人型が描かれています。左側から順に、今日から1週間前まで、1体を1日分の記録としてつかいます。その日の身体を思い出し、コリを感じたところに鉛筆で印をつけます。
穴あけパンチをつかって、印をつけたところに穴をあけます。
本体にカードを差し込み、ハンドルを回します。身体の記憶が小さなメロディになります。
カードは持ち帰ることもできますが、ぜひ会場に残していってください。
会場にあるカードは、自由に聴くことができます。 ほかの人の音色は、どんな音がするでしょう。 一人ひとり異なる小さなメロディをお楽しみください。
---白いTシャツを身体に見立てて、身体のコリを記録します。
1セット:Tシャツ1枚、シール3種類(大・中・小)
※Tシャツを持ち帰ることはできません。ワークショップでつくられたTシャツは、会場に展示します。
記入したらスタッフにお渡しください。
※お手伝いが必要な方は、シートに記入またはスタッフに直接お声がけください。
お互いの身体でコリを感じるところを聞きながら、Tシャツにシールを貼ります。
コリの強さ=シールの大きさです。
大=たくさん凝っている
中=凝っている
小=少し凝っている
できあがったTシャツを交換します。
自分のコリを見たり、相手のコリを身体で感じたり、話をしたり。コリをテーマに、しばし自由にお過ごしください。
記念写真を撮って投稿する!!
#RAW05ボディーズ!! #東京都渋谷公園通りギャラリー
ほかの人の映り込みにご注意ください。声をかけ合って、お願いします。
出演:池上恵一
映像ディレクション:山城大督(Twelve Inc.)
撮影:山城大督、須賀亮平(Twelve Inc.)
主催:東京都渋谷公園通りギャラリー(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館)
2026年5月収録
出演:池上恵一
映像ディレクション:山城大督(Twelve Inc.)
撮影:山城大督、須賀亮平(Twelve Inc.)
主催:東京都渋谷公園通りギャラリー(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館)
2026年5月収録
*ワークショップ映像:「KYOTO RECORDS」(ロームシアター京都、2026年1月)より
そうですね、肩書きとしては美術家ですと答えますけれども、でも、いろんなことやっていますから。
絵も描くし、彫刻も作るし、陶芸もやるし。
で、ワークショップもやるし。
でも、やっぱりワークショップで、みんなと一緒に気づく、そういう機会がないと僕の制作はないですね。
ワークショップ映像のクレジット
ワークショップ映像:「KYOTO RECORDS」(ロームシアター京都、2026年1月)より
美術家っていっても、コリをテーマにする美術家っていうか、コリを探求する美術家というか、コリに恋する美術家っていうか、そういうふうに言うと恥ずかしいですね
ふふふ
コリはね、悪者にされがちなんですけども、どちらかというと…
そうですね、コリはもう痛みに変わったらケアしないといけないです。
けれども、日々体に出来上がってくるコリっていうのは、まあ、頑張ってる証拠というか、
体が外のね、免疫でもそうですけど、外の菌に向かって戦ってくれてるような、そういう存在でもあるので、自分の体を本当は褒めてあげたいていうか、コリが発生したら「おお、頑張ってくれてるんだな、ありがとう」っていうふうにね、言ってあげたいなっていうふうに思うんですね。
なので、悪者ではないです。
なので、実際に、凝っているか凝ってないかっていうのは案外自分では分からないんですけれども、毎日、常に体の中で起こっていることっていうのは、生きよう!生きよう!というふうに努力してくれていることなんですね。
で、そういったことをなんか、こう、感じることができたらな。
何かこう、音に変換して聞いてみたりとか、自分でそれを描いてみたりとかすることによって、自分の体のすごく頑張ってくれてることを意識する。
そしたら、こう朝目覚めた時とかに、「あ、動いている」。
なんか、体もああ自由に動いているっていうことに対しても、なんか普段当たり前にしてるんですけども、感動したりとか。
その感動みたいなことを、ワークショップを通じて、みんなと一緒に、お互いのコリを通して、「あ、自分の身体って面白いな、意外とコリっていいやつかも」みたいなふうに思ってもらえたらなというふうに思っています。
今回ですね、Tシャツとオルガニートなんですけども、まず一つは、Tシャツって毎日みんな着るもんじゃないですか。
で、これにコリをつけていく、あるいは描いていくことによって、自分で自分のコリが見えるようになる。
で、それをペアの人と交換して、「あ、自分はこんなところが凝ってるってこと知らなかったな」っていう、相手との交換によって、自分は相手にした行為が、実は自分の過去を振り返って「あ、自分はそういうところ凝ったこともあるな」っていうところを、もう1回思い出して、自分がやってもらったら気持ちいいな、こういうふうにしてあげようっていうふうに、時空を超えて、相手の身体を通して、自分のことを指圧していくっていうことにも繋がるんですね。
だから、まずこのTシャツにしたってことは、一つのこの身体の記憶、これまでの履歴書?
日記?みたいなものが、一つの形として、まあ見える形で楽しめるっていうことと、あとはオルガニートですね。
これは記録することになったそのコリの部分が、音に変換される。
そしたら自分の凝ってきた歴史が、本当に音として聞くことができて、楽しむことができる。
Tシャツにしても、オルガニートにしても、身体の記憶、自分のこれまで生きてきた頑張りの痕跡、こういったことを芸術作品としてみんなが楽しめるようになったらいいなっていうふうに思って、今回ワークショップ、この2本柱で、楽しんでもらえたらなというふうに思います。
あの、僕は小さい時に病気がちだったので、あまり学校に行けなかった。
で、学校に行けなかったっていうのは、みんなの動きについていけないって言うんですかね。
腎臓機能が少し弱まってたので、朝学校に行く時も、みんなと一緒についていけなくて、学校着く頃にはもう倒れてしまうくらい疲れちゃってた。
だから、「あ、なんでこんなに僕はみんなと動きが違って遅くて、ついていけないんだろう」。
で、それを両親に相談すると、お父さんとお母さんは、「それはね、病気があって、その病気に対して体がものすごく頑張ってくれてるからそうなんだよ」って聞いた時に、「ああ、そうか、体ってそうやって、治していく時にそうなるんだな」っていうふうに思って、まあ、小さいながらに感動したというか。
免疫もそうですよね。
いっぱいたくさんバイ菌がやってきて、それをこう撃退して、ね、病気にかからないようにしてくれてる。
でも、その免疫も、なんかこうストレスっていうのかな、ストレスによってこうグーッて抑えられると、なかなか頑張ろうっていう体の機能が働かない。
そのストレスって色々あるんですけどね。暑いなあとか寒いなあという自然のことは、いいと思うんですよ。この世に生まれてきて、この時代に経験する自然に対するストレスは、それに対する頑張ろうとする免疫機能が働いているからいいと思うんですけども。
自然以外のものって言ったら、いっぱいありますよね。
人間関係とか。もちろん食べ物も食品添加物とかあるけれども、それはもう仕方ないと思うんですけど。
でも、そのいろんな考え方とか思い方によってすごく元気がなくなって、なんかだんだん頑張り機能も低下していくと、どうしたらいいのかなって。
やっぱり、体の頑張り機能を高めることが大切だと思います。
で、コリを、僕が、こうやって、絵に描いたり、あと音楽に変えたりして楽しむことによって、自分の体の中にあるコリのその頑張り機能を応援することになるんじゃないかなっていうふうに思うんですね。
だから、まあ、言ってみれば人間関係も、自分と自分以外の人たちとの関係だから。
コリってみんなに起こることなんですよね。
でも、このコリっていうことを、自分と自分以外の人とコリの交換したりとか、そういったことに目を向けることによって、あ、自分と他の人とは違う、けどもその違う人とのコリも、あ、こんなふうにしたら相手のコリは和らぐんじゃないか、頑張り機能を高められるんじゃないかなみたいなことを、意識し合うことによって、このストレスに対する反応っていうのも変わってくるんじゃないかなというふうに思うんですね。
僕自身がオルガニートで、10年分肩こりの記録をつけて、音にして聞いてみたら、やっぱりね、1年に1回くらい同じメロディが流れて、「あ、自分は何月に調子が悪いんだな」とかっていうのが分かったりとか、ま、その時に怪我しやすかったりとか、風邪を引きやすかったりとか、そういった時を、このアナログのね、オルゴールの仕組みを作って聞くことによって、まあ予防できたりとか、そういった時にいろんな人に逆にこう優しくしてあげなきゃみたいに思ったりするようになりました。
こういった、僕の発想を、みんなと一緒に体験できたらどんなに素晴らしいだろうなと思って、今回ワークショップさせていただけてとても嬉しいです。
RAW05 ケア×アート ボディーズ!!
2026年9月12日(土)‐9月23日(水・祝)
東京都渋谷公園通りギャラリー
RAW05 Bodies!! - Care × Art
12 September (Sat) –23 September (Wed) 2026
Tokyo Shibuya Koen-dori Gallery
出演:池上恵一
映像ディレクション:山城大督(Twelve Inc.)
撮影:山城大督、須賀亮平(Twelve Inc.)
主催:東京都渋谷公園通りギャラリー(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館)
2026年5月収録
Artist: Keiichi Ikegami
Video Direction: Daisuke Yamashiro (Twelve Inc.)
Cinematography: Daisuke Yamashiro, Ryohei Suga (Twelve Inc.)
Organized by: Tokyo Shibuya Koen-dori Gallery, Museum of Contemporary Art Tokyo, Tokyo Metropolitan Foundation for History and Culture
Recorded in May 2026
| タイトル | RAW05 ケア×アート ボディーズ!! |
|---|---|
| 会期 | 2026年9月12日(土)ー 9月23日(水・祝) |
| 会場 | 東京都渋谷公園通りギャラリー 交流スペース、展示室1・2 |
| 企画協力 | 池上恵一 |
| 主催・企画 | 東京都渋谷公園通りギャラリー(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館) |
| プログラム担当 | 門あすか(東京都渋谷公園通りギャラリー) |
| 翻訳 | ブライアン・アムスタッツ(アムスタッツ・コミュニケーションズ) |
| 展覧会ビジュアル・デザイン | アイハラケンジ(halken) |
| 会場施工 | スーパー・ファクトリー株式会社 |
| 映像展示テクニカル・エンジニア | 田中信至 |
| 広報物印刷 | ニューカラー写真印刷株式会社 |