移動する港Ⅰ
タイトル | 移動する港Ⅰ 「豊かな不都合」 |
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会期 | 2018年8月14日(火)~ 8月28日(火) |
開場時間 | 11時~18時 |
閉館日 | 毎週木曜 |
会場 | 四谷三丁目ランプ坂ギャラリー 東京都新宿区四谷4-20 四谷ひろば内 |
入館料 | 無料 |
主催 | 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館(東京都渋谷公園通りギャラリー) |
出展作家 | 榎本高士、関川航平、即興からめーる団、檜皮一彦 |
わたしたちはときどき、うまくいかない。
たとえば口笛が吹けない、ウィンクができないなど身体にまつわるささいなこと。一言の過不足に思わぬ誤解を得るなど言葉の難しさ。些事に左右される自分の気分や、他人の心理のわからなさに歯がゆさを感じる人も多いでしょう。
自身の身体と心のコントロール不能性や、他者の思考や身体感覚の不可知性など、自分と他人をとりまくある種のままならなさは、障害・健常といった区分に関係なく大なり小なりだれにでも起こりえます。そうした個別の事情は、平板化した社会のなかでは都合の悪さとして現れることもあります。しかし、そうしたことを焦燥ではなく、創造性を秘める豊かさとして捉えることはできないでしょうか。本展では、自己と他者とその間に生起する「うまくいかなさ」をテーマに、それぞれ独自の仕方で自他に向き合う四組による作品を展示します。局地的で、しかし無視できないだれかとわたしのあり方について、鋭く、朗らかに可能性を開く作品をご覧ください。
1985年生まれ、2004年からやまなみ工房(運営:社会福祉法人やまなみ会)に所属。同施設にて清掃作業などを担当するかたわら、2014年頃からクレヨン、アクリル絵の具などを用いたドローイングをはじめる。短いストロークを幾度も重ねる筆遣いと穏やかな色彩が特徴的。アトリエでは、静かに、ゆるやかなリズムを周囲と共有しながら制作を進める。近年の主な参加展覧会に2017年「アールブリュット?アウトサイダーアート?それとも?-そこにある価値-」(EYE OF GYRE、東京)がある。
1990年生まれ。パフォーマンスやインスタレーション、イラストレーションなどさまざまな手法で作品における意味の伝達について考察する。近年の主な個展に2017年「figure/out」(ガーディアンガーデン、東京)など。グループ展に2018年「SICF19 PLAY」(スパイラル、東京)「トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」(国立国際美術館、大阪)「漂白する私性 漂泊する詩性」(横浜市民ギャラリー、神奈川)、2017年「BankART Life Ⅴ~観光」(BankART NYK、神奈川)ほか。
音楽家・赤羽美希(東京藝術大学大学院音楽研究科修了・東京音楽大学非常勤講師)と打楽器奏者・正木恵子(日本大学芸術学部音楽学科打楽器専攻卒業、フリーパーカッショニスト)による音楽ユニット。2006年より活動を開始。うたづくり、楽器を使った音楽ワークショップなどを開催するほか、演奏活動も精力的に行う。障害のある人とない人が共同でうたを創作する「うたの住む家プロジェクト」を主催し、ワークショップに参加した一人ひとりがいなければ成り立ち得ない音楽づくりを続けている。
自身も使用する車椅子や身体・器官をモチーフにした彫刻・インスタレーションを幅広く手がけ、近作では自らが登場する映像も取り入れている。律動的でユーモラスな作風は直感を刺激するが、同時に身体に関する固定化したイメージをあぶりだす。近年の展覧会に2018年「inner space colony」(ARTZONE、京都)、2017年「新古宮展」(伊丹市立伊丹郷町館、兵庫)、2016年「ニュー・オーガニクス」/(京都造形芸術大学、京都)などがある。
作品を前に私たちは感動したり思索にふけったりして、あるいは人と話して共有したりできます。作品と私とだれかをとりまく関係は、差異と共感に溢れて、豊かです。近年では、ひとの生活や関係に密接し、福祉や地域コミュニティ等の社会的課題に向き合うアートプロジェクトも多く登場しています。人の生き方や価値観がますます多様化する社会の状況に呼応して、美術の現場もまた多様なアプローチを試みているのです。こうした状況を背に東京都現代美術館では、新たな取り組みをはじめています。
2017年には渋谷区神南に「東京都渋谷公園通りギャラリー」を暫定的に開設し、東京都と連携しながら芸術を通じた共生社会の実現を目指したさまざまな事業を始めています。ギャラリーは改修工事のため現在休館中で、2019年度にリニューアルオープンを予定しています。
本年度はリニューアルオープンに先立ち、「移動する港」を共通タイトルに掲げる展覧会を都内三ヶ所で開催します。各地から船が乗り入れ、多くの文化が交差し続ける港のように、さまざまなタイプの表現と鑑賞者が出会う場の創出を目指す企画です。展覧会ごとにテーマを変え、三様の切り口で芸術と共生のあり方を探ります。展覧会の詳細は随時ウェブサイト等でご案内いたしますのでぜひご覧ください。
四谷三丁目ランプ坂ギャラリー
東京都新宿区四谷4-20 四谷ひろば内
四谷ひろばホームページ
東京メトロ丸の内線 四谷三丁目駅 2番出口から徒歩5分
(四谷三丁目駅は2番線がわ2番出口のみ地上エレベーターがあります。1番線からは階段エレベーターが続くため、新宿三丁目駅等で乗り換えて2番線をご利用されると便利です。)
四谷三丁目駅バリアフリー情報
参加者同士で「見たこと」「見なかったこと」について話しあってみます。
即興からめーる団と一緒にみんなでひとつのうたを作ります。作詞や楽器の演奏技術は不要です。どなたでもご参加ください。
今回の展示作品について聞きつつ、展覧会テーマである「不都合の豊かさ」を探ります。