2021年度から始動した、東京都渋谷公園通りギャラリーの子どもワークショップ Kids meet シリーズ!!第1回目は、アーティストの原倫太郎+原游を迎え、「影」をテーマにした創作ワークショップと成果発表展を実施しました。
ワークショップの内容
子どもたちにエアプレートの上で自由にポーズを取ってもらい、それを切り抜いて等身大のシルエットを作成し、カラーセロハンをつけ装飾していくというもの。出来上がった制作物(シルエット)は、光をつけると、スクリーンや壁に投影された影となり、ゆっくりと回転します(展示風景参照)。ワークショップ(創作)から展示(成果発表)までを一つのプログラムとして実施しました。
はじめに
ギャラリー初の子どものワークショップは、新型コロナウイルス感染者増(第5波)の影響を受け、対面での開催を変更し、オンラインでの実施となりました。23名の応募者の内、21名の親子が参加し、概ね好評に終わりました。障害の有無に関係なく募集をしたところ、6名の障害のある子どもたちが参加してくれました。それぞれの障害の特性により、オンラインが苦手だったり、むしろオンラインでのびのびできたなど、感想は様々でしたが、それぞれのニーズを把握することができ、次の事業に繫がる良い機会となりました。
ワークショップ後に成果発表の場として、短い期間ではありましたが、展覧会を開催。ワークショップ参加者が自分たちの制作物がどのように展示されているのかを見に来てくれ「自分で作った作品がきれいに飾られているし、他の人の作品もきれいでとても良かった」「子どもの作ったものを目で追いかけてしまい、運動会を見に来たような不思議な気持ちになりました」など感想を残してくれました。講師のアーティスト(原倫太郎+原游)と子どもたちとの協働による展覧会を多くの方に鑑賞していただくことができ、この経験が子どもたちにとって何かの糧になることを願っています。
会場の様子
写真:山崎 真
オンラインでの創作ワークショップは初めてでしたが、今まで実施したオンライン鑑賞プログラムなどの経験から、機材の選定や、配置を工夫しました。
ワークショップの様子
写真:山崎 真
講師と参加者の自己紹介から始まり、「影」のお話、ワークショップの内容説明、作業開始となりました。作業工程を細かく分け、その都度講師から参加者への声かけと進捗を確認しながら進行しました。細かい作業は、タブレットを使用して、近寄って撮影したものを共有。最後に出来上がったものをみんなで鑑賞し、拍手を送りあいました。
子どもたちのシルエット
ワークショップ実施後、成果発表展に向け、参加者から送られてきた子どもたちのシルエット。
成果発表 展示風景
原倫太郎さんと原游さんの手が加わり、子どもたちの「影のワンダーランド」が完成しました。
オンラインでは、なかなか交流することが難しかった子どもたちの影が、本人に代わり、展示室内で追いかけっこをして遊んでいるようでした。
写真:山崎 真
おわりに
新型コロナウイルス感染拡大に対応すべく、オンライン開催も見据えて準備をしてきたことで、対面からオンラインへの切り換えは素早くできました。このコロナ禍でオンラインの状況にも慣れてきたこともあり、画面上での交流の可能性について考えていました。今回は、創作活動であること、対象が子どもであることなどを鑑み、都度の声かけや、出来上がりを鑑賞する時間を多く取れるように、タイムスケジュールを講師と相談しながら決めていきました。
当日は、ギャラリースタッフが子どもたちのサポートに入れない分、保護者の方と子どもたちの密な作業となりました。はじめましての緊張から解かれた子どもたちは、自宅という自分たちの安心のできる場での作業のためか、途中画面上から消えて、保護者の方が一生懸命制作をされている姿も見受けられました。「自宅での作業により、あきたら離れ、もどってきてつくり、その子なりの参加の仕方ができた」「怒ったり、笑ったりしながら、子どもとの共同制作を楽しめた」「現場では急かされてしまう制作も、オンラインでの時間内に出来上がらなくても後で続きをすることができて良かった」など感想があり、オンラインならではの利点も新たな気づきでした。一方で、他者との交流を目的に対面での開催を希望される声も多くありました。
実施後の講師、スタッフの反省会では、オンラインの良さを認めつつ、直接触れ合ってこそ、さまざまな視点に気づける対面での良さも味わってもらいたいねという意見もあがり、コロナ禍でのプログラムの提供方法など考えさせられる好機でした。
最後になりましたが、オンラインのための機器類の操作に始まり、ご自宅での作業場の確保、子どもたちのサポートなど保護者の方には大変お世話になりました。この場を借りて、感謝申し上げたいと思います。
(Y・T)