山羊は手紙を待ちながら、待たれながら。

「とどく」田中義樹

「2022年」

2022年になりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか?
自分の2022年の抱負は「投げ出さない」です。多少妥協してでも作品制作を投げ出さないようにしたいですね。毎年そう思っています。
そう言えばこの1月で27歳になりました。高校生の頃はロックンローラーに憧れすぎていたので、多くのロックンローラーのように自分も27歳で死ぬのではないかと思っていたのですが、流石に今年死ぬのは早すぎるなと思いました。ロックンローラーならアルバムを何枚か出してるかもしれませんが、自分にはまだ代表作も何もないので、その点においても死にたくないです。

そして、1月は二通手紙を出しました。小学生の女の子と施設を出て働かれてる方に送りました。手紙の内容を書くわけにもいかないので、このブログの内容は毎回何を書こうか困ったりします。
小学生の子とは絵のお題を送りあって、それを描き合うということをやっていたのでイラストをもらいました。猫好きな子なので、猫がみっちり描いてありました。とてもほっこりした気分になります。あとなぜかプレーリードッグのポストカードを貰いました。

手紙では読んでいる漫画やお気に入りのエンターテイメントの話題になることが多くて、自分は美術作家なのに美術の話になることはほとんどないなということに気づきました。お互いの興味のあることを書くのがいいだろうとすると、やはり漫画の話になりがちですね。今や大人も子供も大体同じ漫画を読んで、同じアニメを見てる時代です。

去年の最初の方の手紙では、ヤギの彫刻を作って送ったりしたのですが、最近はあまりかさばらないイラストを描いて送るという方にシフトしてきています。たまには立体物を送ってみるのもいいのかもしれません。作るの大変ですけどもっと美術作家感を出していこうと思いました。美術を布教すると言いましょうか。

そう言えばこの間、子供の心を掴むイラスト界のビッグボスである、かこさとしさんの展覧会を八王子市夢美術館に見に行ってきました。もちろん絵本の原画はとても良かったです。で、彼の有名な絵本の中に「うつくしい絵」というものがありまして、会場で読めたので改めて読んでみました。レオナルド・ダ・ヴィンチだとかピカソとか巨匠の絵がなぜ素晴らしいのか、小さい子供でもわかりやすく丁寧に解説していて、こういう文章が自分でも書けたらと思いました。
その本の作者あと書きに、最近の美術というものは理屈めいたものが多くて、心に訴えかけるような美しさを忘れてるんじゃないでしょうか。というようなことが書いてあり、心の中ですいませんと呟きました。
なので2月はかこさとしさんのマインドを受け継ぎ、もうちょっと美術に興味を持ってもらえる手紙を目指すのと、子供の家全体に向けて新しく手紙を交換してくれる人を募集する手紙もできたら書いてみようと思います。

【文・画像提供:田中義樹 2022年1月31日】

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