山羊は手紙を待ちながら、待たれながら。

「とどく」田中義樹

「書道初期衝動」

もう2021年の半分が終わったのになんだか何もはじまってないような気がしてしまうのはやっぱり続く緊急事態宣言でできることが少ないからなのかと考えながら、この文章は朝からやってるコーヒー屋さんで書いています。もう6月ですが、2020年の18月になったみたいな感覚でいます。みなさまはお元気ですか?

この「とどく」は今、子供の家の二人と手紙の交換をしている真っ只中ですが、あらたに子供の家の文通に興味のある子を募ってみようということで、張り出してもらうための募集ポスターみたいなものを作りました。手書きで書いたのですが、こいつがなかなか可愛い仕上がりでして自分は可愛い系イラストレーターでもやってけるんじゃないかと書いてる最中2、3回くらい思いました。

そういえば、前に出した手紙の返事の返事はまだです。
まだなのですが、2回目に書いた自分のブログで昔の書道の先生から年賀状もらったけど半年近く返事書いてなかったから、手紙書こうかしら。みたいなことを書いたと思うのですが、あのあと先生に手紙を書きまして、1ヶ月くらいして返事が帰ってきました。
なんだかレターアートプロジェクト番外編みたいだなあとか思ってます。まあ当たり前の話なんですが書道家の先生なんで手紙の字がめちゃくちゃ綺麗。自分の丸っこいミミズみたいな字を書いて送るのがなんだか憚られるというか、自分は書道13年やってたのに普段の字が別に綺麗じゃない。いや、高一くらいまでは習った楷書で学校のノートとかも綺麗にとってたんですけど、高二くらいで美術はじめたあたりからみるみるうちに文字が丸くなり始めたし、人生も楽しくなってきたのでよかったんじゃないでしょうか。
行ってた書道教室は書道家夫婦でやっていて、自分が中学生くらいの時に旦那さんの方が50代でかなり若くして病気で亡くなってしまったのです。服部巍山という立派な先生でした。
巍山先生が亡くなって高校生になって美術を始めてからも教室に通っていたんですが、ある時はじめて亡くなった巍山先生の部屋の本棚を見せてもらいまして、書道一筋の人かと思ったら美術系の雑誌やら画集が死ぬほど並んでおり、どうやら美術マニアだったそうです。ええーこの本くれへんかなと思ったり。

服部巍山「菜根譚詞句」

あーあ。生きてたら美術の話ができたのに。対等にできる話があったのに。あーあ。生きてたら自分の作品見せれたのになあだなんて思って教室に一つ自分の彫刻作品をあげたら、奥さんから巍山先生の作品を一つ分けてもらえました。まだ部屋に飾ってありますよ。

死んでも残る作品があるっていいな。まわりが残そうと思わないと残んないけど、とりあえず自分が持ってるやつは残そう。

作品が未来に「とどく」っていうのはとても素敵。なんてオチで今回はいかがでしょう。


【文・画像提供:田中義樹 2021年6月1日】
                        

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