デザイン:田部井美奈
社会はコロナ禍以前と同じ毎日を取り戻したかのように、人と関わり、集い、再び動くまでにあゆみを進め始めています。しかし一筋の光が見えてきた矢先に新たな災害が起き、私たちの記憶に大きな出来事として刻まれました。私たちは、このような事象に遭遇するたびに日常の尊さや儚さを感じ、過去に積まれた記憶が奥深くへと押し込まれ、代わりに新たな体験の記憶がその上に重ねられることに気づかされます。大なり小なり、毎日とはその繰り返しなのかもしれません。
本展では、見過ごされるような光景や体験、聞き慣れたことば、どこかの誰かとの共同作業、その日の大切な記憶や事柄の記録、安心できるいつもの風景などさまざまな観点で日常を思わせる6名の作家の作品から繰り返される日々を考えます。それぞれの作品から見えてくる他者の日常に触れることで、さっきまで見えていたいつもの風景が新たな価値を帯び、私たちの日々を豊かにしてくれることでしょう。
さまざまな事由によって分断された人と人、人と社会は、手を差し延べてくれた人の手によって再びつながろうとします。私たちの毎日の営みとは、人と社会との関わりから切り離して語ることはできるものではなく、何かしらの作用を相互に与え合っているといえるでしょう。何処かしらに他者の存在が感じられる作品を通して、日常における人と人、人と社会の在り方について考え、日常を新たな視点で捉えなおすことを試みます。
言葉や映像、遊具のような装置を使い、鑑賞者が作品に触ったり、動かしたりすることで思いがけない場所で新たな体験を作るインスタレーション「デコレータークラブ」(2007—)を展開している。主な展覧会に、「飯川雄大展『デコレータークラブ:未来のための定規と縄』」(霧島アートの森[鹿児島]2023年)、「デコレータークラブ 同時に起きる、もしくは遅れて気づく」(彫刻の森美術館[神奈川]2022年)など。
《デコレータークラブ―新しい観客》2022年「感覚の領域 今、『経験する』ということ」展
国立国際美術館と個展「デコレータークラブ:メイクスペース、ユーズスペース」兵庫県立美術館での連携実施の様子 撮影:飯川雄⼤
《デコレータークラブ ─ 0人もしくは1人以上の観客に向けて》千葉市美術館、2021年 撮影:飯川雄⼤
《デコレータークラブ ─ピンクの猫の⼩林さん─》彫刻の森美術館、緑陰広場 2022年
撮影:阪中隆文
職員との会話の中でひらめいた言葉、テレビで耳にした言葉、普段の生活の中でパッと耳に残った言葉など、関口の中から湧き上がる言葉を日々書き連ねていく。温かみのあるやわらかな字には関口の人柄が表れている。主な展覧会に「いま、気になるあの人の表現展」(嬉々!!CREATIVE GALLERY&CAFÉ[神奈川]2023年)、「まにあうかも/まちがうかも~さすらう言葉~」(Goozen -art and event space-[神奈川]2022年)など。
《エピソード》2016年、工房集蔵
《エベレスト》2013年、工房集蔵
《リアルタイム》2015年、工房集蔵
2015年よりアイロンビーズを使って製作を開始。毎日3枚ほどの作品を完成させ、総数は2500枚を超える。ビーズの配置・色の選択・熱の当て具合は全て異なり、土谷の感覚によって構成される。シリーズ名のCOLORNY(カラニー)はcolor(色彩)とcolony(群体)を合わせた造語。主な展覧会に「3331 ARTFAIR 2021」(3331 Arts Chiyoda[東京]2021年)、「HOME PARTY06-蝶や花や-」(みずのき美術館[京都]2020年)など。
《COLORNY (No.4) 》、2015年
《COLORNY (No.24) 》、2015年
《micro colorny (No.22) 》、2021年
2008年頃よりコンピュータ内に仮想の理想郷を立ち上げ、その世界で目にする擬似体験の 風景を主に絵画として描いている。現実と仮想世界の融合が観客を新たな体験へと誘う。 主な展覧会に「MOTアニュアル2023:シナジー、創造と生成のあいだ」(東京都現代美術館、2023年)、「多層世界の中のもうひとつのミュージアム」(ICC[東京]2021年) 、公開制作「もうひとつの世界 10年目の地図」(府中市美術館[東京]2019年)など。
《inner space》 (detail) update 2023.10
©Iku Harada
「Art Front Selection 2021 spring」展示風景
撮影:野口浩史/提供:アートフロントギャラリー
《tree house 2023》2023年
おとなもこどももあそべるぶんがく「微分帖」など、ワークショップやドローイングによって他者との関わりの中にある差異を見つめることを制作の契機にしている。主な活動に「わくわくなおもわく」(はじまりの美術館[福島]2019年)、「びぶんブックス ことばの店:微分帖」(トーキョーアーツアンドスペース本郷、2019年)、「ふしぎの森の美術館」(広島市現代美術館[広島]2010年)など。
「びぶんブックス」ことばの店:微分帖
トーキョーアーツアンドスペース本郷、2019年 撮影:宮原一郎
ペンびぶんフレンドクラブ・いなわしろ - 「わくわくなおもわく」展 はじまりの美術館、2019年 撮影:森田友希
宮田篤+笹萌恵 ペンびぶんフレンドクラブセンター ぎふ - 「セカンド・フラッシュ」岐阜県美術館、2019年 撮影:三浦知也
刺繍の平面作品や立体作品のインスタレーションなど、白い布と黒い糸を使った作品を展開している。白と黒で表現された空間から日常とは何かを問いかけている。主な展覧会に「もずく、たまご」(資生堂ギャラリー[東京]2023年)、「BankART Under35 2022」(BankART KAIKO[神奈川])、「普通の日」(あまらぶアートラボ「A-lab」[兵庫]2021年)、「些細な記念日」(LOTTE GALLERY[ソウル]2018年)など。
《日々を重ね、》、2022年
《日々を重ね、》、2022年
《かぎたち、》、2017年
展示作品とは別に、土谷紘加とユ・ソラがさわれる作品を制作。それぞれの質感を感じてみてください。
展覧会名 | 日常アップデート |
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会期 | 2024年6⽉15⽇(土)-9⽉1⽇(日) |
開館時間 | 11:00-19:00 ※7月19日、26日、8月2日、9日、16日、23日、30日の金曜日は、サマーナイトミュージアムにつき21:00まで開館 |
休館日 | 月曜日 (7月15日、8月12日は開館)、7月16日、8月13日 |
会場 | 東京都渋谷公園通りギャラリー 展示室1、展示室2、交流スペース |
観覧料 | 無料 |
主催 | (公財)東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 東京都渋谷公園通りギャラリー |
詳細は各イベントページにて随時お知らせいたします。
日常アップデート
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日常アップデート
日常アップデート
日常アップデート
日常アップデート
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